ぶっくにっき

英語の本を多読・音読してレビューします

【英語本レビュー】Anxious People

レビューその3

Anxious People (Fredrik Backman著)

レベル:大人向けだけどそんなに難しい単語は出てこない。

    簡単な単語を使いつつ独特な言い回しや例え話をするので(そこがクスリと笑

    わせる感じで面白い)、文法的は少し難しいかな?

    ちゃんと読むと勉強になるかも。

    少し癖があるけども読みやすくて軽快な文章の小説。

 

 

最初のうちは、一体何についての物語なんだろう?と振り回される展開だった。

銀行強盗の話?橋の話?それとも・・・

読み進むうちに点と点が繋がり、時折意表をつかれ、物語の奥行きが見えてくることにワクワクした。

結局のところ、銀行強盗とそこに巻き込まれた人たち(とそのさらに周囲の人たち)のそれぞれの人生の躓きの物語。

みんな愚か者(=idiot)で、みんな手探りで生きていて、何かが一つ掛け違えて突然銀行強盗が起きてしまった。そして全員が出会うことによって、また何かが一つ一つはまっていくような、そんな話だった。

一生懸命大人になろうとして生きているのにうまくいかない愚か者たちに胸が苦しくなる場面もあったけれど、語り口が皮肉で面白いので重くならずにスイスイ読めてしまう。

登場人物が時々本っ当に愚かで、なんて面倒臭い奴なんだ・・・と思って読んでいるのに、いつの間にかまんまと全員を愛おしく思ってしまうところも、見事だなと思った。

本っ当に愚か。そしてそこに、登場人物のリアリティがあった。

誰でもこの愚かさ、身に覚えがあるんじゃなかろうかという。

重くないけど決して薄っぺらくない話でした。

重い小説の後に、いい気分転換になった!